新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の事業計画書を作成するイメージ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の事業計画書、何を書けばいい?9月30日の受付開始前に整理しておきたいこと

「制度の中身はだいたい分かった。でも、いざ事業計画書を書こうとすると手が止まってしまう」—新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募を検討されている経営者の方から、最近そうしたご相談をいただくことが増えました。

補助率や上限額のような制度の枠組みは、公募要領を読めばはっきり書いてあります。ところが「事業計画書に何をどう書くのか」だけは、どこにも正解が書かれていません。第1回公募の応募受付は令和8年9月30日に始まる予定で、残された時間はそれほど長くありません。この記事では、制度の概要ではなく、事業計画書の中身に絞って整理しておきます。

事業計画書は「フィールド別入力」になっています

まず押さえておきたいのが、書き方以前の形式の話です。この補助金は電子申請システムのみでの受付となっており、事業計画書もWordで作って添付する形ではなく、申請画面上の入力欄に項目ごとに書き込んでいく方式になっています。

以前のものづくり補助金では「事業計画書その1・その2」という様式に自由に書き込む形が長く続いていたため、その感覚のまま準備を進めてしまう方がいらっしゃいます。しかし現在の電子申請では、聞かれている項目が最初から分けられていて、それぞれに文字数の上限が設定されています。

これは書き手にとって、意外と大きな違いです。自由記述の様式なら、力を入れたい部分に紙面を厚く割くことができました。フィールド別入力ではそれができません。上限を超えた分は入りませんし、逆にどれだけ丁寧に書いても、聞かれていない項目の説明は評価の対象になりにくいわけです。長く書けばよいのではなく、その欄で問われていることに正面から答える。この切り替えが最初の関門になります。

具体的なフィールドの構成や文字数の上限は公募の回によって変わり得ますので、着手前に必ず最新の公募要領と応募申請ガイドで確認してください。※最新情報は公式サイトをご確認ください。

審査で見られている観点を先に押さえる

限られた文字数で何を書くかを決めるには、審査側が何を確かめようとしているのかを知っておくのが近道です。公募要領の審査項目を読み解くと、おおむね次のような点に整理できます。

1つ目は、新規事業としての具体性です。「新分野に進出します」という宣言ではなく、誰に何をいくらで売るのかまで落ちているか。2つ目は市場と顧客の裏付けで、その市場が実在し、自社がそこに入っていける理由が示されているかどうかです。

3つ目は実現可能性。導入する設備、担当する人員、いつ何をするかのスケジュールが揃って初めて「できそうだ」と読めます。4つ目が収益計画の妥当性で、売上の数字がどんな計算から出てきたのかという話です。そして5つ目が、賃上げをはじめとする政策目的への適合。この補助金は単なる設備投資への支援ではなく、生産性向上と処遇改善を後押しする制度として設計されていますので、そこへの接続は避けて通れません。

この5つは別々の項目のようでいて、実際には一本の線でつながっています。狙う顧客が具体的だからこそ売上の数字に根拠が生まれ、その数字を支えるために必要な設備と人員が決まり、結果として賃上げの原資が説明できるようになる、という順序です。逆にどこか一箇所が空白のままだと、その先の記述がすべて浮いてしまいます。書き始める前に、この流れが自分の頭の中で通っているかを確かめておくと、あとの作業がかなり楽になります。

つまずきやすいのはこの3つ

これまで補助金の事業計画書を拝見してきた中で、繰り返し出会うつまずき方がつあります。

1つは、自社の技術や設備の説明に紙面を使い切ってしまい、市場と顧客がほとんど書かれていないという型です。技術に自信のある会社ほど陥りやすく、書いている側は充実した内容のつもりでも、読む側からすると「それを誰が買うのか」が最後まで分かりません。

2つ目は、数値に根拠がないこと。3年後に売上1億円と書いてあっても、そこに至る単価と数量、想定する取引先の数が示されていなければ、願望と区別がつきません。控えめでも積み上げの見える数字のほうが、計画としては強く読めます。

3つ目は、設備の見積りと計画本文の食い違いです。本文では新しい加工ラインの話をしているのに、見積書には別の機械が並んでいる。数量や金額が経費明細と合っていない。こうしたずれは、計画そのものの信頼性を損ないます。書き上げたあとに、本文・数値・見積りの3点を突き合わせる時間を必ず確保してください。

受付開始前の今のうちにできること

受付が始まってから慌てないために、今の時期に手を付けておけることがいくつかあります。

電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。取得には日数がかかりますので、まだお持ちでなければここが最優先になります。あわせて、直近の決算書一式を手元に揃えておくこと。財務の数字は収益計画の出発点になりますし、申請時にも使います。

導入予定の設備については、早めに見積りを取っておくと計画が一気に具体化します。金額が固まらないと、投資額も収益計画も動かせません。そしてもうひとつ、賃上げの計画について社内で合意を作っておくことです。これは書類上の一文ではなく、事業が始まったあと実際に守っていく約束になりますので、経営判断として先に整理しておく必要があります。

公募要領や様式は改定されることがありますし、応募期間そのものが変更される場合もあります。準備を進めながらも、最新の公募要領は都度ご確認ください。

まとめ

事業計画書は、フィールドごとに問われたことへ簡潔に答えていく書類になっています。技術の説明に偏らず、市場と顧客、実現の手順、根拠のある数字、そして賃上げへの接続。この並びを意識するだけでも、読み手に伝わる文章はかなり変わってきます。

制度そのものの枠組み——補助率や上限額、対象となる事業類型については、当ブログの別記事や新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のご案内ページに詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

当事務所では、ヒアリングをもとに事業計画の骨組みを一緒に整理し、申請書類の作成をサポートしています。補助金の申請は結果をお約束できるものではありませんが、伝えるべきことが伝わる計画に仕上げるお手伝いはできます。ほかの補助金と迷っている段階のご相談も含め、補助金申請サポートのページからお気軽にお問い合わせください。台東区の事務所ですが、オンラインでの対応も行っています。