新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を解説する記事のアイキャッチ。製造業の機械設備のイメージ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募が公開!8月31日の受付開始までに準備すべきこと

「ものづくり補助金はどうなったのか」「新事業進出補助金という名前を聞いたけれど、何が違うのか」。補助金の活用を考えている経営者の方から、最近こうした質問をいただくことが増えました。中小企業向け補助金の代表格だったものづくり補助金は、制度の再編を経て、2026年度は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という新しい体系で公募が行われています。

その第1回公募の公募要領が2026年6月末に公開され、申請受付は8月31日から9月30日までと発表されました。受付開始まで約2か月ある今こそ、準備を始める絶好のタイミングです。今回は、新制度の全体像と、今から進めておきたい準備をご紹介します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは

この補助金は、中小企業の設備投資を支援してきたものづくり補助金の流れをくむ制度で、革新的な製品・サービスの開発や、新しい事業分野への進出に取り組む中小企業を支援するものです。2026年度の第1回公募では、目的に応じて3つの枠が用意されています。

  • 革新的新製品・サービス枠:自社の技術を活かした革新的な新製品・新サービスの開発を支援。補助上限は3,500万円、事業実施期間は10か月
  • 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援。補助上限は9,000万円、事業実施期間は14か月
  • グローバル枠:海外市場の開拓に向けた国内の体制強化を支援。補助上限は9,000万円、事業実施期間は14か月

従来のものづくり補助金に相当する開発型の支援と、事業再構築補助金の流れをくむ新事業進出型の支援が、一つの制度に整理された形です。※各枠の補助上限・補助率・要件の詳細は、公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

どの枠を選ぶかが最初の分かれ道

申請にあたってまず考えるべきは、自社の計画がどの枠に当てはまるかです。既存の事業の延長線上で新しい製品やサービスを開発するなら革新的新製品・サービス枠、これまでとは異なる分野に打って出るなら新事業進出枠、輸出や海外展開を見据えるならグローバル枠、という整理になります。

境界が微妙なケースもあります。たとえば製造業が新しい機械を導入して新製品を作る場合、それが「既存事業の高度化」なのか「新事業への進出」なのかで、適した枠も要件も変わってきます。枠によって補助上限や実施期間が大きく異なるため、計画の内容と枠の選択がかみ合っているかどうかは、採択の可能性を左右する重要なポイントです。

受付開始は8月31日。今から始めたい3つの準備

申請受付は8月31日からですが、締切は9月30日18時と、受付期間は1か月しかありません。受付が始まってから準備を始めるのでは間に合わないと考えたほうがよいでしょう。今から進めておきたい準備は次の3つです。

  1. GビズIDプライムアカウントの取得 
    申請は電子申請で行うため、このアカウントがなければ申請そのものができません。未取得の場合は、真っ先に手続きしておきます。
  2. 事業計画の骨子づくり
    この補助金の審査の中心は事業計画書であり、市場の分析、自社の強み、投資内容、収益計画などを筋道立てて示す必要があります。付加価値額や賃上げに関する要件も設定されていますので、自社の直近の数字を整理し、無理のない目標を立てることが出発点になります。
  3. 見積書など根拠資料の準備
    導入する設備や依頼する外注先について、金額の根拠となる見積書が必要になります。設備メーカーや商社とのやり取りには時間がかかることが多いため、早めに動いておくと後が楽になります。夏季休暇を挟む時期でもあり、相手先の対応が遅くなりがちな点も見込んでおきたいところです。

このほか、認定経営革新等支援機関への相談や金融機関との調整が必要になる場合もあります。関係者が増えるほど日程調整に時間がかかりますので、8月に入ってからではなく、7月のうちに一度全体のスケジュールを描いておくことが大切です。

事業計画書には何を書くのか

審査の中心となる事業計画書では、大きく分けて「なぜこの事業をやるのか」「どうやって実現するのか」「その結果どうなるのか」の3点を示すことになります。具体的には、自社の現状と課題、市場や競合の分析、新しい製品・サービスの内容と強み、必要な設備投資と実施体制、そして売上・利益・付加価値額の計画といった要素です。

電子申請システムでは、こうした内容を項目ごとに入力していく方式がとられています。文章の上手さよりも、根拠のある数字と一貫したストーリーが重視されますので、日頃の決算書や受注データを整理して、自社の現在地を正確に把握することが計画づくりの第一歩になります。

審査で見られるのは「計画の実現可能性」

補助金の審査では、アイデアの斬新さだけでなく、その計画を本当に実行できるのかが厳しく見られます。設備を入れる場所はあるのか、運用する人材はいるのか、販売先の見込みはあるのか。数字の裏付けがある計画は、それだけで説得力が違います。

また、採択後には交付申請、実績報告、そして数年間にわたる事業化状況の報告と、事務手続きが続きます。補助金は「もらって終わり」ではなく、数年がかりの取り組みになることを理解したうえで、社内の体制を考えておくことも大切です。

あわせて、賃上げや付加価値額の向上といった基本要件を満たせるかどうかも早い段階で確認しておきたいポイントです。これらの要件は採択後も達成状況が問われるものですので、背伸びした数字を掲げるのではなく、実行できる水準で計画に落とし込むことが、後々の自社を守ることにもつながります。

まとめ:2か月の準備期間を最大限に活かす

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募は、新体系になって最初の公募です。受付開始までの約2か月をどう使うかで、申請の完成度は大きく変わります。設備投資や新事業への挑戦を考えている会社にとっては、この夏が勝負の準備期間になります。

当事務所では、事業計画書の作成支援から申請手続き、採択後の報告業務まで一貫してサポートしています。「自社の計画はどの枠に合うのか」という入り口のご相談からで構いませんので、早めにお声がけいただければと思います。