「来年こそ販路開拓に投資したい」と考えている小規模事業者の方に知っておいていただきたいのが、小規模事業者持続化補助金の第20回公募です。申請受付は今年の秋からですが、公募要領はすでに公開されており、これまでの公募から内容が変わった部分もあります。早めに概要を把握しておくことで、準備の時間を十分に確保できます。
小規模事業者持続化補助金とはどんな制度か
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主が新たな販路開拓や生産性向上の取り組みを行う際の経費を補助する制度です。チラシ・ウェブサイトの作成といった広報活動、店舗改装、新商品の開発、展示会への出展など、幅広い取り組みが対象になります。補助対象経費の範囲が広く、創業から長く経営している事業者まで使いやすい補助金として知られています。
補助上限額は基本50万円で、各種の特例を組み合わせることで最大250万円まで引き上げられます。補助率は3分の2が基本ですが、賃金引上げ特例の対象になる赤字事業者は4分の3に引き上げられます。
誰が対象になるのか
対象となるのは、商工業者であって常時使用する従業員の数が一定数以下の小規模事業者です。業種によって従業員数の基準は異なり、製造業・建設業などは20人以下、商業・サービス業は5人以下が目安とされています。個人事業主も対象に含まれるため、フリーランスとして活動している方や、家族経営の店舗を営んでいる方なども申請を検討できます。すでに事業を継続している方であれば、創業して何年目かといった制限は基本的にありません。
第20回公募のスケジュール
第20回公募の申請受付は2026年11月5日から始まり、12月15日17時に締め切られる予定です。商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日とされており、申請締切よりも早く設定されています。事業支援計画書の発行には一定の日数がかかることが多いため、申請を考えている方は計画書の依頼を早めに行っておく必要があります。
第19回からの主な変更点
今回の公募では、これまでの回からいくつかの変更が加えられています。まず、賃金引上げ特例の考え方が見直されました。これまでは事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることが条件でしたが、今回は従業員一人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させることが条件になります。この特例の対象となる赤字事業者は、補助率が4分の3に引き上げられ、優先的に採択される扱いになります。
また、広報費とウェブサイト関連費については、それぞれに30万円(税込)の上限が設けられ、単独での申請ができなくなりました。これまでウェブサイト制作だけで申請を検討していた事業者は、他の経費と組み合わせた計画に見直す必要があります。さらに、相見積りが必要となる発注総額の基準が、100万円超から50万円超に引き下げられており、これまで相見積りが不要だった発注についても、見積りを2社以上から取る必要が出てくる場合があります。
新設された加点項目として、健康経営優良法人の認定を受けている事業者向けの加点と、地域別最低賃金の引上げに取り組む事業者向けの加点が追加されました。これらの加点に該当する事業者は、申請書の中で該当する旨を明記しておくと審査で有利になる可能性があります。
新設加点をどう活かすか
健康経営優良法人加点は、経済産業省と日本健康会議が認定する「健康経営優良法人」の認定を受けている事業者が対象です。認定を受けるには別途申請が必要なため、これから認定を目指す事業者にとってはすぐに使える加点ではありませんが、すでに認定を受けている事業者であれば、申請書にその旨を記載するだけで加点の対象になります。
地域別最低賃金引上げ加点は、各都道府県の最低賃金に対して一定以上の水準で従業員の賃金を支払っている事業者などが対象になる見込みです。賃金引上げ特例とあわせて、人件費に関する取り組みが審査で評価されやすくなっている点は、今回の公募の特徴のひとつといえます。自社の賃金水準や認定状況を一度整理し、該当する加点がないかを確認しておくとよいでしょう。
申請までに準備しておきたいこと
申請受付は11月からですが、準備に時間がかかる部分は早めに動いておくと安心です。特に、商工会・商工会議所の事業支援計画書は、混雑する時期に依頼が集中すると発行までに時間がかかることがあります。事業計画の骨子が固まったら、早めに最寄りの商工会・商工会議所に一度相談しておくことをおすすめします。
また、広報費やウェブサイト関連費を使う予定がある場合は、上限額の範囲内に収まるよう経費配分を見直しておく必要があります。相見積りの基準が引き下げられたことで、これまで見積り1社で済んでいた発注についても、複数社からの見積り取得を前提にスケジュールを組んでおくことをおすすめします。
採択後の実績報告も忘れてはならないポイントです。補助事業が完了した後は、経費の支払いを証明する書類や成果を示す報告書を提出する必要があり、この報告が認められて初めて補助金が交付されます。申請時だけでなく、事業完了後の手続きまで見据えて準備を進めることが、補助金を確実に受け取るための鍵になります。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の第20回公募は、申請受付が2026年11月5日から12月15日までと、まだ時間に余裕があります。ただし、賃金引上げ特例の考え方や広報費・ウェブサイト関連費の取扱いなど、第19回から変わった部分も多いため、過去に申請した経験がある事業者ほど最新の公募要領を確認しておく必要があります。
持続化補助金は毎回少しずつルールが見直されており、過去に申請した内容のまま今回も通用するとは限りません。行政書士に依頼できる範囲は、事業計画書の作成支援や経費区分の整理、商工会とのやり取りの準備などが中心になります。販路開拓の方向性が固まっている事業者ほど、早めに専門家へ相談することで、計画づくりの時間を有効に使えます。
事業計画の作成や商工会への相談の進め方など、わからないことがあれば当事務所にご相談ください。販路開拓の取り組みを補助金で後押しできるよう、申請準備をサポートします。



