2026年7月から経審が変わります——建設業者が今すぐ確認すべき3つのポイント

以前4月にも取り上げましたが、いよいよ本改正の適用開始が翌月まで迫ってきましたので改めてまとめたいと思います。「経審の改正があるらしいけれど、自社にどう影響するかよくわからない」という方はぜひご参考ください。

2026年7月1日以降の申請から、経営事項審査(経審)のルールが変わります。内容を把握していないまま申請時期を迎えると、想定より点数が下がっていたということにもなりかねません。早めに確認しておくことをお勧めします。

今回の改正は「担い手の育成・確保」「災害対応力の強化」「建設業許可要件への対応」という3つの柱に基づいています。実務に直結する変更点を、一つずつ順番に見ていきます。なお、今回の改正は審査基準日ではなく申請日が基準です。審査基準日がいつであっても、申請日が2026年7月1日以降であれば改正後の基準が適用されます。3月決算の会社であれば、今年の申請が改正後初めての申請になる可能性があります。この点はよく誤解されるので、まず最初に押さえておいてください。

社会保険の審査項目がなくなります

これまでW点(社会性等)に含まれていた「雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況」の審査項目が、2026年7月1日以降の申請からすべて削除されます。旧W1-1〜W1-3と呼ばれていた項目です。社会保険への加入自体は引き続き建設業許可の要件として求められますが、加入の有無がW点の加点・減点に影響しなくなるという意味での変更です。加入していても加点されず、未加入でも減点されなくなる、ということです。

気をつけたいのは、これまで社会保険加入でW点を稼いでいた会社は、その分の点数が単純になくなるという点です。具体的には最大6点(3項目×2点)が失われる可能性があります。自社のP点への影響がどの程度か、事前にシミュレーションしておくことを勧めます。「申請してみたら思ったより点数が下がっていた」という状況は、できれば避けたいところです。特に入札参加資格の点数要件ぎりぎりで運用している会社は、余裕を持った対策が必要です。

また、社会保険加入が経審点数に反映されなくなることは、「加入していても点数には関係ない」ということを意味しますが、許可要件としての加入義務はなくならないので、そこは混同しないよう注意が必要です。許可の維持という観点では、これまでと変わらず加入を継続することが求められます。

新しく「自主宣言制度」でW点が5点加算されます

今回の改正で新設されるのが「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」です。この制度に登録することで、W点に5点が加算されます。先ほどの社会保険項目削除による点数ダウンをカバーする手段として、注目されている制度です。

ポイントは、審査基準日(決算日)までに宣言を完了していることが条件という点です。申請直前に駆け込みで宣言しても加点されません。この制度への対応を考えている会社は、決算日より前に手続きを終わらせておく必要があります。宣言の内容としては、技能者の処遇改善や育成に向けた取り組みを自社として宣言するものとなっています。具体的な要件や宣言の手続き方法については、国土交通省の公式サイトで確認してください。※最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

社会保険項目の削除で最大6点が失われる可能性がある一方、自主宣言で5点の加算が得られます。完全に補えるわけではありませんが、対応しないよりは大きく違います。全体的な点数の変動幅を把握したうえで、どう対応するかを判断することが重要です。自主宣言制度は今回の改正で初めて設けられるものですが、今後も継続される見込みで、対応を先延ばしにするメリットは特にありません。

建設機械の加点対象が広がります

W7(建設機械の保有状況)の加点対象機械に、新たに「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」の2機種が追加されます。これらの機械を自社で保有している場合は、経審申請時に申告することでW点の加点につながります。対象機械を所有しているにもかかわらず申告していなかったというケースは意外とあります。今回の改正を機に、自社の機械保有状況を改めて整理してみることをお勧めします。

なお、加点の対象となるには所有していることの証明書類が必要です。リース契約の場合は加点対象にならないケースもあるため、所有か賃借かの確認も合わせて行っておくとよいでしょう。申告漏れがないよう、早い段階で保有機械の一覧を作って確認しておくことをお勧めします。対象が増えたということは、これまで対象外だった会社にも加点のチャンスが生まれたということでもあります。建設機械の保有状況は毎年変わることもありますので、申請のたびに見直す習慣をつけておくと安心です。

3月決算の会社が特に注意すべきこと

先にも触れましたが、今回の改正は申請日が2026年7月1日以降かどうかで適用が決まります。3月決算の会社が例年通りのスケジュールで経審申請を進めると、改正後の基準が初めて適用されることになります。社会保険の審査項目削除でどれだけ点数が変わるか、自主宣言制度への対応が間に合うか——この2点を今のうちに整理しておくことが重要です。

特に入札参加資格の点数要件がある会社は、P点の変動が直接受注機会に影響します。余裕を持ったスケジュールで動き始めることをおすすめします。自主宣言の手続きには一定の時間がかかる可能性があるため、決算日から逆算して今から動くのがベストなタイミングです。決算を終えてから考えようとすると、間に合わないケースが出てきます。

経審は毎年の申請が基本ですが、点数の変動は翌年の入札結果にも影響します。長い目で見た対策を今から始めることが、安定した公共工事の受注につながります。今年の申請で想定外の点数ダウンを防ぐためにも、改正内容の確認と対応を早めに進めておきましょう。

まとめ

2026年7月施行の経審改正は、W点の構成が大きく変わる内容です。社会保険項目の削除・自主宣言制度の新設・建設機械対象の拡大という3点を押さえ、自社のP点への影響を事前に確認しておきましょう。いずれの対応も、早く動き始めるほど選択肢が広がります。

経審の申請準備や点数シミュレーション、自主宣言制度への対応方法についてご相談がある方は、行政書士事務所ONEまでお問い合わせください。申請スケジュールも含めて、一緒に整理します。